日本テコンド−協会(JTA)試合規則
ライトコンタクト・テコンド−組手試合
U部・有段者とV部・有級者(1級〜7級)


1、総則
1)
日本テコンド−協会(以下JTA)の実施する「組手U部」および「組手V部」は、現代の現状にあった定められた規則にもとづき非直接打撃制を遵守し、相手を尊重しながら勇敢に競技し、礼に始まり礼に終わる「スポ−ツ武道」の試合を目指す。
2)
上段・中段への蹴りと突きに限定した「JTAライトコンタクト・テコンド−・ル−ル」とする。 試合の勝敗は、「技有り」「有効」などを基準とする勝ちと審判の心証による「優勢判定勝ち」 「その他」により決定される。
3)
本規則の実施は「全日本テコンド−選手権大会U部、V部」、JTAが認定した「全日本テコンド−選手権大会U部、V部出場選手選考会」、その他の「都道府県大会」などの組手試合で実施する。


2、審判
1)
主審1名、副審2名とする。
2)
審判の権限と動作
  1. 主審の権限と動作
  1. 主審は、「技有り」を宣言できる。
  2. 主審は、「有効」および「注意」「反則」「失格」を独自の判断で宣言・決定できる。
  3. 主審は、「技有り」「注意」「反則」「失格」の宣言を行い、試合を一時的に中断させる。
  • 「技有り」を宣言した場合、副審の同意を確認する。
  • 「技有り」を宣言し、副審の同意を確認している際、打撃を受けた選手が、倒れるなど予想以上に強いダメ−ジが認められる場合、主審は「技有り」を取り消すことができる。U部とV部とは、非直接打撃制のため、当然、「有効」にもならない。
  1. 副審の同意権と動作
    主審の「技有り」に関しては、副審2名の同意がなければならない。
  1. 副審は、主審が宣言した「技有り」に同意する場合、旗を真横に上げる。
  2. 副審は、主審が宣言した「技有り」に対し、同意できない場合、または何らかの原因により選手の技が見えにくくなり、その同意に自信がもてない場合、旗を上段に交差させる。その場合、主審の宣言した「技有り」は取り消される。審議は行わない。
3)
「技有り」や「有効」がなければ判定となる。
  1. 3名の審判は同等の権限を有する。
  2. 主審と副審は一斉に旗を上げ勝者を決定し、または旗を下段に交差して引き分けを決定する。
4)
判定に混乱が生じた場合、審判3名と協議し、適切な対応をとる場合がある。その場合、再試合を行う場合もあり得る。


3、勝敗の基準
1)
「技有り」
  1. 定められた箇所(反則箇所を除く)への正確で華麗な跳び蹴りを「技有り」とする。
  • 上段への跳び蹴り。
    たとえば
    「跳びネリョ・チャギ」

    「跳びトラ・ヨッチャギ(後ろ横蹴り)」
    「跳びトルリョ・チャギ(回し蹴り)」
    「跳びヨッチャギ(後ろ横蹴り)」
    「跳び回転蹴り」 
    「跳びパンデ・トルリョ・チャギ(後ろ回し蹴り)」
    「各種の跳び連続蹴り」など。
  • 中段への難易度の高い蹴り。
    たとえば、
    「跳びトラ・ヨッチャギ(後ろ横蹴り)」
    「各種の跳び連続蹴り」など。
  • 上記は主審が「技有り」を宣言し、副審2名が同意すれば「技有り」となる。
  1. 「技有り」2つにより「TK0勝ち」となる。実力差が著しく、客観的な危険性が認められるため。
  1. 「技有り」1つは勝利の基準となる。たとえば、選手Aが「技有り」1つで、対戦相手の選手Bが「技有り」0の場合、勝者は選手Aとなる。
2)
「有効」
  1. 定められた上段の箇所(反則箇所を除く)への正確な蹴りを「有効」とする。
  1. 「上段ネリョ・チャギ」ロ
  2. 「上段トラ・ヨッチャギ(後ろ横蹴り)」
  3. 「上段トルリョ・チャギ(回し蹴り)」
  4. 「上段コロ・チャギ(掛け蹴り)」
  5. 「上段パンデ・トルリョ・チャギ(後ろ回し蹴り)」など。
  1. 定められた中段への正確な蹴りを「有効」とする場合がある。
  1. 「中段トラ・ヨッチャギ(後ろ横蹴り)」「中段パンデ・トルリョ・チャギ」など。
  2. 相手の攻撃を受け流した後、瞬時に反撃するカウンタ−の「合わせ技」。
    たとえば、「後ろ回し蹴り」や「後ろ横蹴り」をかわし、片足を上げながら、もう一方の片足で相手の中段を飛び回し蹴りで蹴るなど。
  3. 突進してきた相手に「横蹴り」「前蹴り」「後ろ横蹴り」などを蹴り、相手が尻餅をつくなど
  4. 中段への基本的な蹴り(回し蹴り、前蹴り、横蹴りなど)が、当たったり、ふれただけでは「有効」とはならない。
  1. 「有効」2つで「技有り」1つに相当する。ゆえに「有効」4つで「技有り」2つに相当するため、 「TK0勝ち」となる。相手の受けの技術が不十分であり、実力差が著しく、客観的な危険性が認  められるため。
  1. 「有効」1つは勝利の基準となる。たとえば、選手Aが「有効」1つで、対戦相手の選手Bが 「有効」0、もしくは、選手Aが「技有り」1つ+「有効」1つで、対戦相手の選手Bが「技有り」 1つの場合、勝者は選手Aとなる。
3)
「優勢勝ち」
「技有り」や「有効」が、同じ場合(選手Aが有効2つ、選手Bが技有り1つなどの場合も含む)や無い場合は審判の心証により勝敗を判定する。その基準は「技有り」や「有効」とはならなかった蹴り技(中段の前蹴り、横蹴り、回し蹴りなど)のヒットや、正確な突き、気合い十分な積極的な攻撃姿勢などであり、それを総合的に判断し、「優勢勝ち」を決定する。
4)
「引き分け」
 3名の審判中、旗が2本以上、上がらない場合、「引き分け」となり、延長戦を行う。
5)
「その他」
  1. 主審は、注意4、反則2(注意2で反則1)、または審判や相手選手を侮辱する選手の言動など 武道家らしからぬ試合態度に対し、厳しい態度でのぞみ失格を宣言できる。失格した選手は、その日から1年間、試合出場停止処分とする。
  2. 主審は、実力差が著しいと認められる場合、TK0を宣言できる。
  3. 棄権、ドクタ−ストップ、セコンドがタオルを投げた場合、放棄試合とする。
  4. 主審は、審判や相手選手を侮辱・中傷する応援者に対し、退場を宣言する。
4、出場資格
1)U部
  1. 高校生以上のテコンド−の有段者および2級以上に限る。
  2. 非オ−プン制。JTA会員および招待選手に限る。
  3. 女子の試合は、女子中学生でも、優秀な者は特例により参加することができる。
2)V部
  1. 高校生以上のテコンド−の有級者。過去の大会で3位以上の入賞経験のない1〜2級は参加できる。
  2. 中学生でも優秀な者は特例により参加することができる。
  3. 女子の試合は、女子中学生も参加できる。C非オ−プン制。JTA会員に限る。
3)
中学生や小学生の組手試合は、W部、X部として別途規程を定める。


5、U部・V部の共通階級
1)男子
  1. 軽量級(60kg未満)
  2. 中量級(70kg未満)
  3. 無差別級
2)女子
  1. 軽量級(50kg未満)
  2. 中量級(60kg未満)
  3. 無差別級
3)その他
  1. 選手が8名以上、達しない場合、階級を統合する場合がある。
  2. 将来、男子女子いずれも新たな階級設置を妨げるものではない。

6、本戦・延長戦と体重判定
1)
本戦(2分)、延長戦(2分)とする。
2)
3位決定戦と決勝戦は、主審の判断により、再延長戦(2分)を行う場合がある。
3)
「延長戦」または「再延長戦」で決着がつかない場合は、体重判定とし、少しでも軽い選手を勝者とする。体重計には、選手が最後の試合を行った状態(各種防具を付けた状態)でのること。


7、防具の着用
1)
選手はJTA指定の「手と足の防具」、「ファ−ルカップ」を着用しなければならない。
2)
すねや膝のサポ−タ−の着用は禁止しない。ただし、威力を増すための防具は不可。
3)
U部出場選手は、「ヘッドギア−」を着用しなければならない。
4)
V部出場選手は、「顔面ガ−ド付きヘッドギア−」を着用しなければならない。


8、反則
1)
頭突き、突き、貫手、掌底、肘、膝などによる顔面強打。 ただし、ライトコンタクトのチルギ(突き)は認める。その場合であっても強打は禁止する。強打を行った選手が、有名であれ、無名であれ、優勝候補であれ、公正に反則負けを宣言する。
2)
後頭部に対する攻撃
3)
背中に対する攻撃
4)
下段蹴り(ロ−キック)、足払い、急所蹴り、間接蹴りなどの下段(帯より下)への攻撃
5)
投げ、つかみ、間接技など非打撃系格闘技の技
6)
「反則勝ち」の選手がその後遺症により試合続行不能の場合、次の対戦相手の不戦勝となる。


9、その他
1)
本規則に規程がない事態が生じた場合、宗師範が判断し、対処する。
2)
試合を通じて本規則の不備な点が明らかにされた場合、理事会を通じて規程を見直すものとする。
3)
本規則は2001年7月15日から施行する。
                               日本テコンド−協会
                                宗師範 河 明生