日本拳道の構え
闘姿七龍(Tousi Seven Dragons)

                                           創始者 河 明生

一、基本の構え

侍姿(シシ、sisi)・臥龍(ガリュウ、garyuu)           画像
 解説  両手拳は縦拳、両肘を肩幅。
      両肘を弛緩状態でゆるやかに曲げながら前につきだす。両手拳は帯よりも低くならない。
      基本移動稽古や蹴武の型等の日本跆拳道動作前の構え。  
      類い希なる優れた才能を持ちながら、静かに横たわっている龍の如く、世に出ようとせず隠遁し、
      ひたすら学問にうちこむ賢者・諸葛亮孔明(しょかつ・りょう・こうめい。三顧の礼後、蜀の宰相)を
      見識有る人々は「臥龍(がりょう)」と讃えた故事に由来。
      日本跆拳道は「人は向上心を忘れず努力を怠らなければ幸せになれる」という理念をもつ。
      同時に、「人生哲学無き武道は虚しい」と考えている。  
      我々は孔明には遠く及ばないにしろ、「人に生まれたからには、自分にもそれ相応の可能性がある」と信じる。
      門下生諸氏は、精神の人=侍が、精神修行の鍛錬として日々怠らなかった武術重視の姿勢を範とし(侍姿命名の由来)、
      日常生活から離れ、JTA道衣に着替えて日本跆拳道の動作の端緒である臥龍の構えをする都度、
      背筋をのばして姿勢を正し、仕事や学業等で疲労し、怠惰や弱気に陥っている自分自身の心に清水を流し込むかの如く、
      「自己の可能性を信じて、向上心を忘れず、努力を怠らないでがんばり、幸せになろう!」
      という「自助の精神」を涵養(かんよう)していただきたいと思い命名した。


二、闘姿七龍(トウシシチリュウ)の構え

第1龍  虎龍(コリュウ、Koryuu)                  画像
  解説  左手拳を顔面の中心(鼻と人中を防御)から拳二つ程あけてつきだす。
      右手拳の尖端を右のこめかみよりもやや下の位置におくことで右側面を防御する。
      古来、アジアで最強を意味していた龍と虎にJTAもあやかりたいと思い命名した。
      蹴武の型・義家の構え。


第2龍  双龍(ソウリュウ、Souryuu)               画像
 解説  左手刀の甲側を左目のラインにおき、手のひら側を相手に向ける。
      その際、左肘を内側にしぼることで左肩のラインからはみでないようする。
      右手刀の甲側を右目のラインにおくが、右目の視界を遮らないよう指先尖端を右目よりも下におく。
      その際、右肘を右肩のラインからはみでないように右脇を固める。
      左手刀と右手刀の間は肩幅。左の手首つけねと右の指先尖端を平行にする。
      左右の手刀を二匹の龍とみなし命名した。
      蹴武の型・清衡の構え。     


第3龍  天龍(テンリュウ、Tenryuu)               画像
 解説  左手刀の手のひら側を相手に向けながら、
      左右の視界を遮らないよう左手首つけねを眉間から拳三つ程離れた位置におく。
      その際、左肘を内側にしぼって左胸のラインにおく。
      右手刀の甲側を相手にむけながら下段におろし、急所ラインにおく。
      上段の左手刀と下段の右手刀とが縦に平行になるように調整する。
      下段と上段に構えている左右の手刀を地から天にのぼる龍とみなし命名した。
      JTAの「フルコンタクト・テコンドー」は、「フルコンタクト・カラテ」を参考にしているが、
      その元祖たる極真空手創始者・大山倍達翁の得意とする構えを参考修正している。
      蹴武の型・謙信の構え。     


第4龍  飛龍(ヒリュウ、Hiryuu)                   画像
 解説  左手刀の手のひら側を相手に向けながらのばし、
      左手首つけねを左目ラインにおくべく肘をゆるやかに曲げる。
      その際、左肩と左肘を平行にし、あえて左脇に隙をつくり、その部位への相手の攻撃を誘う。
      右手拳をみぞおちにおくことで、防御をしながらも瞬時に突きをはなてるようにする。
      ゆるやかにのびる左手刀および腕を空を飛ぶ龍とみなし命名した。
      蹴武の型・武蔵の構え。     


第5龍  小龍(ショウリュウ、Syouryuu)             画像
 解説  左構え(左手前方)の場合

      首と視線
      ①顎をゆるやかにひく。
      ②両目の視線を相手に向ける。

      左手
      ① 左手腕部で左胴体側面(脇から脇腹)を防御する。
      ② 左肘から斜めに左手刀をおろす。左手首は曲げてはならない。
      ③ 左手で素早く攻撃(裏拳等)や防御(急所受け等)ができるよう弛緩状態を保つため
         左手腕部内側と左胴体側面とは密着させず間隔を少し開ける。

      右手
      ① 右手刀と右肘を垂直にたて右の脇をしめる。
      ② 右手刀で急所の右こめかみ(テンプル)を防御する。
      ③ 右手で素早く攻撃(上段突き等)や防御(手刀上段内受け等)ができるよう弛緩状態
         を保つため右手刀と顔側面の間隔を離すこと。


第6龍  起龍(キリュウ、Kiryuu)                   画像
 解説  左手刀(もしくは手拳)の手のひら側(もしくは握り側)を相手に向けながら左肘を直角にし、
      左肘を左胸のラインにおき左肩のラインに左手首のつけねをあわせることで顔面を防御する。
      右手刀(もしくは手拳)の手のひら側(もしくは握り側)を天に向けながら水平にしみぞおちを防御。
      手刀起龍と手拳起龍がある。
      JTAは、テコンドーの創始者・崔ホンヒ翁が創立したITFから分離派生した「新しい武道テコンドー」である。
      ITFの特徴は、組手のライトコンタクト・ルールと24の型にある。
      JTAは、より実戦的であり、K-1等のプロのリングでも十分通用する打撃系格闘技の基礎を涵養できる
      フルコンタクト・テコンドーを創始し、ITFとは一線を画している。
      しかし、JTAは、型を重視する古巣のITFを範とし、武道としての基礎的存立条件といえる型を重視する武道でもある。
      新たに創始されたJTA蹴武の型は、ITFの型よりも、より一層、「蹴りの武道=蹴武」の特長を表徴している。
      いわばJTAは、「文武両道」のたとえどおり、実戦組手および蹴武の型を重視する武道である。
      ある意味でJTAテコンドー=フルコンタクト・テコンドーは、ITFテコンドーを発展させたテコンドーであるといえる。 
      ITFの型に頻繁に登場する基本動作がテビマッキ(対比受け)であり、シンボル的な防御動作でみなせる。 
      JTAは、型を重視する姿勢をITFから学んだ。その生い立ちを明確にすべくテビマッキを蹴武の型にも採用した。
      肘から斜め直線にのびる手刀(手拳)を地から起きあがった龍とみなし、起龍と命名した。
      蹴武の型・青淵の構え。


第7龍  伏龍(フクリュウ、Fukuryuu)               画像
 解説  両手拳を両肘をやや曲げながら帯よりも下におろし、肩幅以上にひろげる。
     下段におかれた手拳を地に伏している龍とみなして命名した。
     蹴武の型・南洲の構え。


注意 解説は右利きを基準にしている。