第1試合 小川浩平(三段、東京城南支部) 対 吉田啓史(二段、横浜鶴見支部)

解説

前半戦は、両者一歩も譲らない白熱した試合展開だった。
普段おとなしい吉田が、人が変わったような形相で気合いを入れていた。
軽快なフットワークからの連打の突き、そして蹴りへとつなぐコンビネーションが冴えていた。

だが、蹴りの数では小川が吉田を上回っていた。
吉田の後ろ回し蹴りに対し、小川は首を後ろに引いてかわして、すかさず中段回し蹴りを放った。
小川は、吉田の突きや蹴りを防御しつつ、後ろ回し蹴り、かかと落とし、跳び後ろ回し蹴り、跳び踵おとしなど多彩な蹴りをはなつ。
しかし、いずれもブロックされ、あるいは腰が入っておらず決定打にはならなかった。

中盤戦になると、両者とも蹴りが少なくなった。
とくに、吉田の動きが止まり、突き中心の組手になった。
回転かかと落としは、小川に難なくかわされた。

対する小川は、左ジャブや左横蹴りで間合いをつめ、後ろ回し蹴りなどをはなつ。

後半戦、「ラスト30(秒)」を合図に武田門下から「吉田コール」がおこり、後楽園ホールに轟いた。
小川への応援はかすんでしまった。

吉田は、大声援に応えようと力を振り絞ろうとしたが、身体が思うように動かなかったようだ。
前半戦で見せた軽快なコンビネーションにはほど遠かった。
スタミナが切れていたように思われる。

対する小川は、吉田に比べれば安定していた。
とくに残り15秒前後で、小川は、右の中段横蹴りを吉田のボディにヒットさせた。
すかさず同じ足ではなった右かかと落としが、吉田の顔面をかすめ、その体勢を崩した。
これが勝敗の分かれ目になった。

終了のゴングがなった。
1回戦はすべて3名の審判による旗揚げ判定である。
小川の青が2本、吉田の赤が1本上がり、2対1で小川の優勢勝ちとなった。





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