第4試合(予選)高島大輔(初段、埼玉草加支部) 対 斉藤正昂(初段、神奈川大学横浜校体育会支部)


解説

両者とも推薦での初出場。
斉藤は、2004年度JTAランキング第14位でぎりぎりの出場当確。
高島は、ランキング外の選手だが、新設された埼玉草加支部をアシストしている功労度と、将来性をかわれて推薦出場。
特筆すべきは、両者とも184cmと長身で、足が長く、蹴り技にも光るものがあるという点だ。
問題は、キャリア不足とディフェンスの甘さだ。

序盤。
斉藤が右「後ろ回し蹴り」をはなつと、高島は後進してかわす。
斉藤は、連続して左の「かかと落とし内蹴り」、次いで右の「中段回し蹴り」で高島の左脇腹をとらえ、間髪を入れずに接近して右の「上段突き」をはなち高島の顔面をとらえた。
ただ、斉藤は腰が入っておらず、高島は、さほどのダメージを受けていなかった。

高島は落ち着いて斉藤の攻撃をかわし、右の「中段突き」を斉藤の胸にヒットさせながら間合いをつめる。左「斜線立ち」から右足を前進させて左「上段横蹴り」をはなつ。これが斉藤の顔面を見事にとらえた。
高島は蹴る前後、腰も安定して膝も落ちており、体重移動もスムーズで、蹴り足の左膝を十分抱え込みながら流れるように蹴れた改心の蹴美だった。

両者とも接近し、もつれあうかに見えた瞬間、高島が至近距離から右「跳び後ろ横蹴り」を蹴る。
高島、二度目の蹴美だった。
斉藤は防御しているのだが、蹴られた瞬間、顎が浮き、蹴られる方向に首が動いてしまったので、審判が有効打とみなしても何ら不自然ではない。

フルコンタクトテコンドーでは、腰や膝を常に安定させて重心を中心点にたもち、顎をひきながら自分の構えを崩さず、いかなる攻撃に対しても終始冷静に手堅く防御しなければならないのだ。
結果として見ると、この二つの蹴美が勝利の決定打だったといえる。

中盤。
両者とも攻撃はしているのだが、腰が安定せず、膝も浮いているので、蹴りの威力が弱かった。
いずれも決定打に欠け、序盤にくらべると動きが雑だった。
とくに斉藤は、蹴り技を蹴っている、というよりは、蹴りを出している、という感じだった。

高島は、2連続で回転し、「跳び後ろ横蹴り」をはなつという難易度の高い技を実行したが、決定打にはならなかった。

終盤。
斉藤は、「回転後ろかかと落とし」をはなつが、高島に難なくかわされる。
高島は、右の「前蹴り」や「回し蹴り」などを蹴るが、序盤のような生きのいい蹴りがでない。

両者とも接近してからの顔面への突きが中心となってしまう。いずれもスタミナが切れたようだった。

「ラスト30(秒)」。
約50名の部員をもつ神奈川大学体育会支部部員から「サイトウ・コール」がおこり、後楽園ホールに轟いた。
だが、斉藤は、そのコールに答えたくとも答えられない、そんな感じがした。
序盤での高島の蹴美が評価され、赤旗が3本上がり、高島が優勢勝ちをおさめた。








戻る