第16回全日本フルコンタクト・テコンドー選手権大会 無差別級の見所
    
                               
しゅう げき ひっ とう
 
                      蹴撃必倒!

            打倒 斉藤健に燃える「蹴美の四天王」!!

              井上鉄朗、妹尾将吾、坂本洸巳の3強


 日本テコンドー協会(以下、JTA)は、
他の打撃系武道・格闘技他流派の追随を許さない至高の蹴り技を修得研鑽する蹴武であり、
華麗でありながら威力のある蹴り技を追求する蹴美の武道である。
そしてこの度、第15回全日本フルコンタクト・テコンドー選手権大会における蹴美の一本勝ち(16試合中、4試合)
に鑑み、新たな技術的理念が加わった。蹴撃必倒である。

蹴撃必倒(しゅうげきひっとう)。
このモデルは薩摩示現流である。
これは日本最強と恐れられた明治維新の推進勢力・薩摩藩の伝統的剣法であり、
「一撃必殺」の実戦剣法であった。

だが、比較的平和な日本において「一撃必殺」を標榜するのは時代錯誤であろう。
けれども人間には程度の差こそあれ闘争本能という遺伝子があり、何らかの形でそれを満たす必要性がある。

JTAは、現代社会が許容できる範囲内の組手ルールにもとづくアマチュア競技武道団体として存立している。
そのうえでJTAは「七大精神」にあるように信義や礼儀礼節、公益等を重んじることで、
闘争本能を精神美に昇華させようとしている。

しかし、武道は精神性のみを追求する理屈の世界ではない。
やはり当該流派の個性といえる技術力を高めなければ存在価値が薄れる。
当該技術力は簡潔な理念によって表される。
そこでJTAが創出した新たな技術的理念が蹴撃必倒であり、
蹴撃必倒とは、全身全霊をこめた華麗な蹴り技での一撃で相手を必ず倒すというものである。
そしてその実践の最高舞台が「全日本フルコンタクト・テコンドー選手権大会」である。

  蹴撃必倒を第15回全日本大会で実証したのが、チャンピオンの斉藤健(神奈川県警同好会支部)である。
優勝までの4試合中、2試合で一本勝ち、KO率5割という圧倒的な強さだった。
190cm近い長身と長い足から放たれる上段へのかかと落とし、そして中段への後ろ横蹴りは驚異的な蹴美だった。
神奈川大学湘南校体育会テコンドー部を卒業後、神奈川県警に就職し、心身共に鍛えられた。
尾崎以来の2連覇を狙う斉藤が、ディフェンデイング・チャンピオンとしていかなる試合をするのか、
神奈川県警の名誉をかけた熱い闘いを期待したい。

 斉藤の2連覇阻止に燃えるのは、JTAの看板選手=「蹴美の四天王」の井上鉄朗(千葉船橋支部)および
妹尾将吾(岡山支部)、
そして「KOアーチスト」の坂本洸巳(神奈川大学湘南校体育会)であろう。

 第15回全日本大会準優勝者の「蹴美の重戦車」・井上鉄朗は、日本打撃系格闘技界屈指の蹴り技の名手。
100kg近い身体からは想像もできない軽快なフットワークと高度な蹴美は観客を魅了する。
とくに3m以上離れていても相手の脳天にかかと落とし(別名トマホーク蹴り)を蹴れる身体的能力は驚異的だ。

 「蹴美の魔術師」・妹尾将吾。
妹尾は井上同様、日本打撃系格闘技界屈指の蹴り技の名手。
毎回優勝候補といわれながら結果をだすことができなかった。
その悔しさをバネに捲土重来、臥薪嘗胆で今シーズンは万全を期した。
春の関東大会にも出場して優勝し、
その後は四国高知まで度々出稽古に行き宗師範内弟子の後輩・古谷知也(高知支部)と共に精力的なトレーニングを積んでいる。
芸術美ともいえる得意のかかと落としや後ろ横蹴りに磨きをかけている。
中国におけるテコンドーのパイオニアとして精神面も充実しており、死角無しといえる。

「打倒!斉藤健!!」に執念を燃やすのが、第15回全日本大会3位の坂本洸巳である。
坂本は斉藤同様、神大入学後、テコンドー部に入部してテコンドーを始めたので同期の斉藤に対するライバル心が強い。
そのため前大会準決勝戦で斉藤に敗れたことが相当悔しかったようだ。
今年からチームドラゴンに入会し、蹴りの威力に磨きをかけている。
もともと蹴美のセンスが良く、華麗な闘いを期待できる。

 彼ら以外にも蹴美の完成度が高い選手が熱戦を展開するであろう。
「蹴美の四天王」の小川浩平(東京城南支部)、「人間空母」の趙哲来(横浜市大体育会)、古谷知也(高知支部)、
高島大輔(川崎中原支部)、門倉健次(湘南平塚支部)等をあげることができる。