昇段審査論文課題(出題者 河明生先生)


<茶帯・1級>初段昇段論文課題
 「日本跆拳道の基礎理論」


<現初段>二段昇段論文課題

「最高裁62.3.26判決(昭和59年あ第1699号傷害致死事件-勘違い騎士道事件)について調べ、
 正当防衛、誤想防衛、過剰防衛について論述し、日本テコンド-有段者としての所見を述べよ」

<事件概要-被害者男性Aは、女性Bらと飲食した。Aは酩酊したBを帰宅させようと店外に連れ出したが、
大声を出して暴れたBともみ合い状態になった。そこに日本語能力の低い空手三段の英国人男性Cが偶然通りかかった。
Cはコンクリ-ト路面に倒れたBを見て、AがBに暴行を加えているものと思いこみ、Bを助け起こそうとした。
酩酊しているBは「ヘルプミ-、ヘルプミ-」と叫んだため、Cは暴行を止めるようにという意味で両手を差し出しながらAに接近した。
ところがAは、ボクシングのファイティング・ポ-ズのようなを姿勢をとったため、Cは身の危険を感じ、右回し蹴りを蹴った。
その蹴りを受けたAは8日後に死亡した。Cは逮捕起訴され正当防衛を主張したが認められなかった>

参考文献
『別冊ジュリスト刑法判例百選Ⅰ総論』
内田文昭「誤想防衛か過剰防衛か」(『判例タイムズ』550号所収)
大塚仁「誤想過剰防衛」(『刑法論集1』所収)
その他刑法の基本書




<現弐段>三段昇段論文審査

「武道を生涯の道と定めた場合、その究極的目標は、死生観の涵養であると考える。とすれば宗教の長所や短所を見極め、
その涵養の糧にすべきであろう。
宗教と武道の共通点と異同を論述し、その現代社会での望ましいあり方について述べよ」

参考文献(任意)
宮本武蔵『五輪書』
山本常朝(田代陳基)『葉隠』
『日本の名著 山鹿素行』
マックス・ウェバ-(大塚久雄訳)『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
新渡戸稲造『武士道』
内村鑑三『余はいかにしてキリスト教徒となりしか』




<現参段> 四段論文審査課題

二つの架空の事例につき、次の三つの視点から比較論述せよ。

<事例1>Aは、Bが空手のチャンピオンと知りながら「勝負したい」と申し込んだ。
       Bは、所属する空手団体での地位や立場もあり、再三再四、Aの申し込みを断った。
       しかし、Aはおさまらず、Bを侮辱しながら、執拗に勝負を挑んだ。
       さすがのBも堪忍袋の緒が切れたのか、次のような条件を提示した。
       ①自分の道場に入門し、
       ②「道場内での組手で大怪我や入院をしても刑事上および民事上の責任を追及しない」
        という主旨の入門誓約書に記名し
       ③空手道義を購入し、着用した上で、
       あくまで門下生に対する組手稽古の一環としてなら指導してもいい、とした。
       すると、AはBの条件をすべてのみ、Bと「何でもありルールの組手」で対決した。
       結果、Aは内臓破裂で入院した。
       Aは、Bを暴行罪で警察に訴えると同時に民事裁判を起こし治療入院費と慰謝料等を請求した。

<事例2>Cは、おとなしい高校生だったが、大学進学と同時に空手部に入部した。
       同大学空手道部は、さほど強い部ではなかったが、年配のOBが頻繁に指導に来る部だった。
       また空手部員も全学年合わせて10名にも満たなかったため、その存亡が危ぶまれていた。
       愛部心の強いOBとCら現役は危機感をもち、何とか部を存続させたいと努力していた。
       やがてCは初段をとり、3年に進級すると同時に主将になった。
       しかし、現役は7名前後となった。
       Cは主将として現役部員達を叱咤激励しながら指導した。
       ところが、指導に来るOBのDとうまが合わず、指導方針をめぐり意見が一致しなかった。
       9ヶ月が過ぎ、Cの主将としての任期も実質的に1ヶ月となった。
       同大学空手道部は、OBも参加する合同稽古を実施した。
       その際、DはCの態度に激高し、Cの頬を平手打ちした。
       Cは逆上し、Dの顔面に回し蹴りを蹴りこんでしまいDは死亡した。

  ①法律論(刑法および民法上の論点)、
  ②倫理道徳論(過去と現在との客観的な倫理道徳的差異の視点)
  ③自己の所見