日本跆拳道七大精神 ー 我々は克己の精神を涵養すること
  小学生門人 克己の精神の事例 
    日本テコンドー協会
宗師範 河 明生
    
 大阪の小学校3年生 宮本音花(大阪鶴橋テコンドークラブ)は、
 JTAの小学生・中学生・高校生門人の中で唯一、
 第22回全日本学生テコンドー選手権大会の二部蹴武の型試合に挑戦し、
 見事大学生に勝利し、2回戦に進出しました。 
 これはJTAの小学生門人の克己の精神の模範といえます。
 
 
克己の精神には、自分の弱い心にうち勝つこと、という含意があります。
人間は困難に直面するといろいろと言い訳をつくろい逃げようとする傾向があります。
自分自身を納得させながら、必ず同意してくれそうな親しい他者に同意を求めることで 
困難から「合理的に逃げる口実」を得ようとし、精神的安定をはかろうとする傾向があるのです。
とくにこの傾向は、日本人に強いと言われています。

資源のない国・日本では、人材こそがすべてです。
上記のような人間しかいないのであれば、日本は確実に亡国の道を歩むことになるでしょう。
家族や家庭は、幸せの微笑みから遠ざかるでしょう。

他方、一部の人間は、自分の弱い心に立ち向かおうとし、
自分の精神を奮い立たせるために今までにない挑戦を試みる場合があります。
程度の差はありますが、壮年や青年の大人も、少年少女も、時として未収学の幼児ですら
周囲の人々からみると何かにとりつかれたかのように、
やる気をだして熱くなり、新しいことに挑戦を試みることがあるのです。

これは壮年層ならば、精神的にはけっして老いておらずまだまだ若い証拠であり、
青年層ならば、まだまだ可能性があることの証拠であり、
少年少女ならば、可能性の萌芽の証拠であり、
幼児なら、才能の開花の証拠といえそうです。

新しいことに挑戦し続けようとする人生に無駄なことはありません。
一見、仕事とは無縁なことに熱中・集中することで、
新たな活力がみなぎり、視野が広がり、ものごとに動じない冷静な判断が可能となり、
人の上に立つ資質として重要な大局観が涵養された結果として、仕事に深みができるのです。

JTAが主催する試合もしかり。 
一部の門人の皆さんは、
「自分は*****だから出場しても勝てない」
とはじめから諦めてはいないでしょうか。
良いではないですか、仮に他者に負けたとしても。プロではなく、アマチュアの武道家なのですから。

少なくても、試合にエントリーした時点で「挑戦するという意志」が明確化し、
試合会場に足を運んだというその事実こそが、
「強敵に当たるかも知れない」と言う恐怖心=弱い心を克服した証拠であり、
ルールに基づき正々堂々と2分間(通常、ケンカは30秒程度)も、
蹴りそして突き、防御できたという事実こそが、
自分が「口先だけではない戦える人間」に成長したことの進化の証なのだから
自分を褒めてあげるべきだと私は考えます。

今回、小学3年生の女子・宮本音花が、
大学生・専門学校生が出場する第22回全日本学生テコンドー選手権大会の二部蹴武の型試合に
JTAの全国の小学生・中学生・高校生門人の中で唯一、挑戦したことを当日知りました。
しかも1回戦で大学生に勝利し、2回戦に進出したというではありませんか。 
これは、大変、すばらしいことだと思います。
「わたしは小学生だから大学生にはとても勝てない」
と考えずに挑戦し、勝利を収めたことは、JTA小学生門人の克己の精神の模範だと考えます。