ＪＴＡ中級応用約束組手・手技足技複合（１〜５）

                           緑帯（５級）教程


　　　　　　　宗師範   河  明生


�T、約束組手総論（＊「約束組手総論各論」から抜粋）


約束組手の目的

１）チルギやチャギ、それに対するマッキなどの各種テコンド−動作を学ぶ。
２）テコンド−動作を合理的に修得するために必要な
　　�@呼吸法を学び、
　　�A集中力を高め、
　　�B胆力を養い
　　�C筋力の緊張・弛緩使用法を訓練する。
３）自由組手を行うための基礎を養う。とくにケガをしないための防御の修得を重視する。
４）不測の事態にそなえた正当な自己防衛のための訓練を行う。
　　�@慌てず冷静に対処するため訓練する、
　　 �A人間の各種急所を憶え、そこへ正確な手技・足技を攻撃できるよう訓練する。


約束組手の要点

１）相手から視線をそらさない。
２）移動の際、自分の体重を支える正しい姿勢・立ち方で、各種攻撃と各種防御を憶えること。
３）攻撃や防御の瞬間は、使用すべき筋力を緊張させ、それ以外は弛緩状態にすること。
４）上記の動作はすべて腹式呼吸をベ−スにした呼吸法で行い、動作の際、瞬時に息を吐くこと。
５）威力を高まるため攻撃・反撃の際、気合いを入れること。練習・訓練で気合いがでなければ、
　　試合や正当防衛の実践では、気合いがでることはない。
　　また気合い（大声）を出して練習することは、ストレスの発散にもなるので、恥ずかしがらず
　　挑戦し、慣れること。









�U、約束組手各論

３、中級応用約束組手・手技足技複合（１〜５）

目　　的
「初級基本約束組手」で学習した手技基本攻撃から、足技基本攻撃への手技と足技を複合した
「段差攻撃」＝「打点変化攻撃のコンビネ−ション」を修得する。
上記に対する手技・マッキによる「段差防御」＝対打点変化防御のコンビネ−ションと、
軸足重心移動動作の蹴りによる反撃を修得する。

動作基本−立ち方は、攻撃側、防御側いずれもコンヌン・ソギ（半前屈立ち）
 　　　 攻撃側は、あらかじめ定められた手技、次いで足技で攻撃する。進行方向は２歩前進。
　 　　 防御側は、それを定められた片方の手で連続マッキをし、反撃を行う。進行方向は２歩後進。

準備動作−攻撃側は、定められた第１動作の手技を右手で攻撃する姿勢を保つ。
　　　　　防御側は、その手技を定められたマッキにより受ける。
　　　    攻撃側は右手右足を引きパカパルモッ・ナジュンデ・マッキ（下段払い）で構える（気合）。
　    　　防御側は下げた足を元に戻すと同時に、ヘチョ・マッキ（十字払い）で構える（気合）。

要　　点
１，攻撃側要点
�@手技と足技による正面の攻撃を複合した「正面段差攻撃」を修得する。
「段差攻撃」とは、自由組手や護身などの攻撃パタ−ン、すなわち上段のガ−ドの硬い相手に対し、中
段へ攻撃することでそのガ−ドを中段に集中させて崩し、手薄になった上段へ瞬時に攻撃したり、
逆に中段のガ−ドの硬い相手に対し、上段へ攻撃することでそのガ−ドを上段に集中させて崩し、　手
薄になった中段へ瞬時に攻撃する（たとえば、手技による正面の中段攻撃から足技による正面の下段攻
撃、手技による正面の上段攻撃から足技による正面の中段攻撃、手技による正面の中上段攻撃から足技
による正面の上段攻撃など）という打点変化攻撃のコンビネ−ションをいう。

�A「左を制する者は世界を制する」の格言は、テコンド−にも当てはまる。
　　しかし、左足による中上段や上段への蹴りを不得意とする修練生が多い。
　　そこで左足による中上段や上段への蹴りの技術を向上させるため訓練する。

２，防御側要点
�@「正面段差攻撃」に対する「正面段差防御」を修得する。
　「段差防御」とは、上記「段差攻撃」に対し、中段受けから下段受け、中段受けから上段受け、　　
　上段受けから中段受けて防御するという対打点変化防御のコンビネ−ションをいう。
    手技＋足技の「正面段差攻撃」に対し、片方の手で連続して受ける「連続受け」を修得する。

�A「初級基本約束組手」で学習した基本的防御のパンデ・マッキ（逆受け）を修得する。
    手技足技複合の「正面段差攻撃」に対し、片方の手で連続して受ける。

�Bリスクの後にはチャンス有り。攻撃側の手技足技複合攻撃を受けきった場合、反撃の機会がある、　
という思考を中級応用約束組手の実技により身体で憶える。
　反撃の際、攻撃側に近い足（ここではすべて右足と定めている）で蹴る方が、相手に当たる確率が　
高いので、それを修練する。
　その際、奥足の左足に重心を移して軸足とし、片足立ちとなり、相手に近い前足で蹴るという
　軸足重心移動動作を修得する。
１）中級応用約束組手１番（緑帯教程）

準備−�@防御側→ナラニ・ソギ（平行立ち）。
　　　�A攻撃側→右半前屈立ち＋防御側の中段「みぞおち」に右チルギを突く姿勢。　　
　　　�B防御側→右足を下げて、左半前屈立ち＋右アンパルモッ・パンデ・マッキ（内逆受け）で
　　　　　　　　受ける（間合い調整）。
　　　�C攻撃側→右手右足を引き、左半前屈立ち＋左パカパルモッ・ナジュンデ・マッキに構える
　　　　　　　　（気合）。
　　　�D防御側→下げた右足を元に戻すと同時に、ヘチョ・マッキに構える（気合）。

動作−�@攻撃側→防御側の「みぞおち」に右チルギを突く（右足前進、右半前屈立ち）。
　　　�A防御側→右アンパルモッ・パンデ・マッキで受ける（左足軸足・右足後進、左半前屈立ち）。
　　　�B攻撃側→防御側の「膀胱」めがけて、左アッチャギを蹴る。
　　　�C防御側→右パカパルモッ・ナジュンデ・マッキで受け（右足軸足・左足後進、右半前屈立ち）、
　　　　　反撃→（後進した）左足に重心を移して軸足とし片足で立ち、正面中段に右足膝をかかえ　
　　　　　　　こみ、攻撃側の「膀胱」めがけ、右アッチャギを蹴る（気合）。
 

２）中級応用約束組手２番（緑帯教程）

準備−�@防御側→ナラニ・ソギ
　　　�A攻撃側→右半前屈立ち＋防御側の「みぞおち」に右チルギを突く姿勢。 
　　　�B防御側→右足を下げて、左半前屈立ち＋右パカパルモッ・パンデ・マッキ（外逆受け）で
　　　　　　　　受ける（間合い調整）。
　　　�C攻撃側→右手右足を引き、左半前屈立ち＋左パカパルモッ・ナジュンデ・マッキに構える
　　　　　　　　（気合）。     　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　�D防御側→下げた右足を元に戻すと同時に、ヘチョ・マッキに構える（気合）。

動作−�@攻撃側→防御側の「みぞおち」に右チルギを突く（右足前進、右半前屈立ち）。＊１番同様　
　　�A防御側→右パカパルモッ・パンデ・マッキで受ける（左足軸足・右足後進、左半前屈立ち）。
　　　�B攻撃側→防御側の急所に向けて、左足で急所蹴り（気合）。
　　　�C防御側→右ソンカル・ナジュンデ・マッキ（下段手刀払い）で受ける
　　　　　　　　（右足軸足・左足後進、右半前屈立ち）、
　　　　　反撃→（後進した）左足に重心を移して軸足とし片足で立ち、正面中段に右足膝をかかえ　
　　　　　　　こみ攻撃側の「膀胱」めがけ、右アッチャギを蹴る（気合）。　　　  ＊１番同様


３）中級応用約束組手３番（緑帯教程）

準備−�@防御側→ナラニ・ソギ
　　　�A攻撃側→右半前屈立ち＋防御側の「人中」に右・上段チルギ突く姿勢。
　　　�B防御側→右足を下げて、左半前屈立ち＋右パルモッ・ノップンデ・パンデ・マッキ　　　　　
　　　　　　　（上段逆受け）で受ける（間合い調整）。
　　　�C攻撃側→右手右足を引き、左半前屈立ち＋左パカパルモッ・ナジュンデ・マッキに構える　　
　　　　　　　（気合）。
　　　�D防御側→下げた右足を元に戻すと同時に、ヘチョ・マッキに構える（気合）。

動作−�@攻撃側→右・上段チルギを防御側の「人中」めがけて突く（右足前進、右半前屈立ち）。
　　　�A防御側→右パルモッ・ノップンデ・パンデ・マッキで受ける　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　（左足軸足・右足後進、左半前屈立ち）。
　　　�B攻撃側→左・中段ヨッチャギを蹴る（気合）。
　　　�C防御側→右パルモッ・ネリョ・マッキ（中段下ろし受け）で受け　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　（右足軸足・左足後進、右半前屈立ち）、
　　　　反撃→（後進した）左足に重心を移して軸足とし片足で立ち、身体を右横にむけ、右足膝を　
　　　　　　中段にかかえこみ、攻撃側の「肋骨」めがけ、右・中段ヨッチャギを蹴る（気合）。　　
　　　　　その際、攻撃側に蹴りが届かないと判断した場合、左軸足を蹴る方向に向けて
　　　　　　　スライド前進させる。


４）中級応用約束組手４番（緑帯教程）
準備−�@防御側→ナラニ・ソギ
　　　�A攻撃側→右半前屈立ち＋防御側の「みぞおち」に右トゥンチュモッ・テリギを打つ姿勢。
　　　�B防御側→右足を下げて、左半前屈立ち＋右・パカパルモッ・パンデ・ヨッマッキ　　　　　　
　　　　　　　（逆外横受け）で受ける（間合い調整）。 
 　 　�C攻撃側→右手右足を引き、左半前屈立ち＋左パカパルモッ・ナジュンデ・マッキに構える　　
　　　　　　　（気合）。
　　　�D防御側→下げた右足を元に戻すと同時に、ヘチョ・マッキに構える（気合）。

動作−�@攻撃側→右トゥンチュモッ・テリギを防御側の「みぞおち」に向けて打つ　　　　　　　　　
　　　　　　　（右足前進、右半前屈立ち）。
　　　�A防御側→右・中段パカパルモッ・パンデ・ヨッマッキで受ける　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　（左足軸足・右足後進、左半前屈立ち）。
　　　�B攻撃側→左・上段（または上中段）トルリョチャギを防御側の「こめかみ（または横顎）」
　　　　　　　　めがけて蹴る（気合）。
　　　�C防御側→攻撃側の蹴りの打点の高さに合わせて、右・上段パカパルモッ・ヨッマッキ　　　　
　　　　　　（外横受け）で受け（右足軸足・左足後進、右半前屈立ち）、、
　　　反撃→（後進した）左足に重心を移して軸足とし片足で立ち、右足膝を右斜め中段にひきつけ、
　　　　　　　攻撃側の「肋骨」めがけ、（蹴ると同時に）首と上半身を左手側に４５°程度傾けて　
　　　　　　右・中段トルリョチャギを蹴る（気合）。


５）中級応用約束組手５番（緑帯教程）
準備−�@攻撃側→ナラニ・ソギ
　　　�A攻撃側→右半前屈立ち＋防御側の「鎖骨」に向けて右ソンカル・テリギを打つ姿勢。
　　　�B防御側→右足を下げて、左半前屈立ち＋右・ソンカル・パンデ・マッキ（逆手刀横受け）で　
　　　　　　　受ける。 
 　 　�C攻撃側→右手右足を引き、左半前屈立ち＋左パカパルモッ・ナジュンデ・マッキに構える　　
　　　　　　　（気合）。
　　　�D防御側→下げた右足を元に戻すと同時に、ヘチョ・マッキに構える（気合）。

動作−�@攻撃側→右ソンカル・テリギを防御側の「鎖骨」に向けて打つ（右足前進、右半前屈立ち）。
　　　�A防御側→右・ソンカル・パンデ・ヨッマッキで受ける（左足軸足・右足後進、左半前屈立ち）。
  　　�B攻撃側→左・上段（または上中段）ネリョチャギを防御側の「人中（または顎）」めがけて　
　　　　　　　蹴る。
　　　�C防御側→攻撃側の蹴りの打点の高さに合わせて、キョチャ・チュモッ・マッキ（十字受け）　
　　　　　　　で受け（右足軸足・左足後進、右半前屈立ち）、
　　　　反撃→（後進した）左足を軸足とし、右足を大きく後進させ、攻撃側の「人中（または顎）」
　　　　　　　　めがけて、右・上段（または上中段）ネリョチャギを蹴る（気合）。　　　　　　　
　　　　　　　その際、攻撃側に蹴りが届かないと判断した場合、左軸足を蹴る方向に向けて　　　　
　　　　　　スライド前進させる。