JTA上級蹴美約束組手     足技防御・跳び蹴り複合(1〜10) 茶帯(1〜2級)教程           宗師範 河 明生 目 的−「初級基本約束組手」と「中級応用約束組手」で学んだテコンド−動作を基礎とする     華麗で美しい蹴り技(蹴美)の約束組手を修得する。     自由組手の技術を高めるため、攻撃側の急所や間合いをはかる動作や攻撃前の気合い、     それに伴う防御側の受けの準備動作や防御前の気合いを行わない。     上記の準備動作が無くても、攻撃側は適切な攻撃の間合いを瞬時に判断して攻撃し、     他方、防御側はそれに対する適切な防御の間合いを瞬時に判断して防御する技術を養う。    対 象 者−上級レベルの2級(茶帯)と1級(茶帯) 動作基本−上級蹴美約束組手1番〜10番     攻撃側、防御側のいずれも立ち方は、ナラニ・ソギ(平行立ち)。     攻撃側は、あらかじめ定められた足技で攻撃する。進行方向は前進。     防御側は、それを定められた防御で受け(手技防御、かわし防御、足技防御)、     華麗で美しい跳び蹴り技で反撃する。その進行方向は一定しない。 準備動作−急所や間合いは一切はからない。      攻撃側と防御側はナラニ・ソギで向かい合う。      攻撃側は、自己の身体的特徴(足の長さなど)に見合った適切な間合いを瞬時に判断する。 要  点 1,履修技術の自由組手への修正応用 1)心構え  「初級基本約束組手」や「中級応用約束組手」では、攻撃側は「これから攻撃する」という意志を防御 側に伝えるため攻撃前に気合いをいれ、それに対し防御側は「了解」という意志を攻撃側に伝えるため防 御前に気合いをいれる。  しかし、現実の組手や護身では、そのようなことはない。たとえば、相手は蹴りや突きの瞬間に気合い をいれ、もしくは怒号をあげたり、それをせずに攻撃したり、フェイントをかけるなどが想定される。ゆ えにそれに慣れるための訓練を通じた「実践的心構え」の涵養が要請される。  そこで上級蹴美約束組手では、攻撃側は攻撃前の気合いをはぶく。攻撃側の気合いは蹴りと同時にいれ る。それに対し防御側は、その攻撃に合わせて瞬時に防御を行うという訓練を通じて、自由組手や護身で の「実践的心構え」を涵養する。  2)実技 「初級基本約束組手」や「中級応用約束組手」などで履修したテコンド−動作は、自由組手の際、修正応 用されるという認識を確認する(とくに自由組手未経験者)。たとえば、「初級基本約束組手・手技3番」 で学んだ上段チルギは、右手を突けば左手を帯の左横に引いたが、現実の自由組手ではそうはならない。 突いた手が右手であれば、左手は脇をしめて顔の左側をガ−ドし、相手の反撃に備えなければならない。 同様に、チルギの際、肘を伸ばしきることを学んだが、現実の自由組手では、ボクシングの影響により、 肘を伸ばしきらないジャブを突くことがある。 しかし、矛盾を感じる必要はない。すでに履修したテコンド−動作は基礎であり、基礎的技術が備わっ てこそはじめて競技技術を高めるための修正応用作業が意味をなす。いかなる競技も「崩すための(修正 応用する)基礎的技術」が不可欠であるが、だからといってそれだけを「金科玉条可」し、反復練習して も競技力向上は望めない。  初段への昇段を意識する上級者は、かつて学んだ「基礎も大切、その上でその修正応用も大切」という バランス感覚を涵養してもらいたい。 2,難易度の高い足技・防御と跳び蹴り、後進かわし防御などを修得する。 a)底足ヌルロマッキ  b)底足アヌロマッキ  c)足刀パクロマッキ、 ティオ足刀パクロマッキ   d)ティオ・アッチャギ、ティオ後進アッチャギ  e)ティオ・ヨッチャギ  f)ティオ・トルリョチャギ、ティオ連続トルリョチャギ g)ティオ・ネリョチャギ h)ティオ・トラ・ヨッチャギ、ティオ後進トラ・ヨッチャギ i)ティオ・パンデ・トルリョチャギ f)ピトゥロ・チャギ(ひねり蹴り)  g)2回転後進かわし防御、跳び後進かわし防御 1)上級蹴美約束組手1番(茶帯教程) 動作−攻撃側→(防御側の「膀胱」めがけ)右アッチャギを蹴る。    防御側→(右横方向へ)かわし防御     反撃1→(攻撃側の「みぞおち」めがけ)左・中段ヨッチャギ     反撃2→(攻撃側の「人中」めがけ)右・ティオ・アッチャギ(気合)。 2)上級蹴美約束組手2番(茶帯教程) 動作−攻撃側→(防御側の「急所」めがけ)左・急所蹴り。    防御側→右・底足ヌルロマッキ     反撃→(攻撃側の「人中」めがけ)左・ティオ・アッチャギ(気合)。 3)上級蹴美約束組手3番(茶帯教程) 動作−攻撃側→(防御側の左「脇腹」めがけ)右・ヨッチャ・トゥルキを蹴る。    防御側→(右足をひき)ティッパルソギ+サンソンパダッ・ネリョマッキ     反撃→(攻撃側の「顎」めがけ)右・ティオ後進アッチャギ(気合)。 4)上級蹴美約束組手4番(茶帯教程) 動作−攻撃側→(防御側の「みぞおち」めがけ)左・中段ヨッチャギを蹴る。    防御側→(左足をひき)ニウンチャ・ソギ+右・パルクッ・ネリョマッキ     反撃→(両足踵の位置を変え)サソン・ソギ        +(攻撃側の「顔面」めがけ)右・ティオ・ヨッチャギ(気合)。 5)上級蹴美約束組手5番(茶帯教程) 動作−攻撃側→(防御側の「顔側面」めがけ)右・中上段トルリョ・チャギを蹴る。    防御側→左・足刀パクロマッキ     反撃→(攻撃側の「顔側面」と「脇腹」めがけ)右・ティオ連続トルリョチャギ(気合)。 6)上級蹴美約束組手6番(茶帯教程) 動作−攻撃側→(防御側の「顔側面」めがけ)左・中上段トルリョ・チャギを蹴る。    防御側→左・底足アヌロマッキ     反撃→(攻撃側の「顔側面」めがけ)右・ティオ・パンデ・トルリョチャギ(気合)。 7)上級蹴美約束組手7番(茶帯教程) 動作−攻撃側→(左足を踏み込んで、防御側の「みぞおち」めがけ)右トラ・ヨッチャギを蹴る。    防御側→(左足をひき)ニウンチャ・ソギ+サンソンパダッ・ネリョマッキ     反撃1→(攻撃側の「みぞおち」めがけ)左・ピトゥロ・チャギ     反撃2→(左足をひいて、ニウンチャ・ソギにもどし、攻撃側の「胸」めがけ)          左・ティオ後進トラ・ヨッチャギ(気合)。     8)上級蹴美約束組手8番(茶帯教程) 動作−攻撃側→(左足を踏み込んで防御側の「顔側面」めがけ)右・パンデ・トルリョチャギを蹴る。    防御側→(両足を浮かしながら)跳び後進かわし防御     反撃1→(両足がつくまえに攻撃側の「脇腹」めがけ)右・中下段トルリョチャギ     反撃2→(攻撃側の「顔側面」めがけ)左・ティオ・パンデ・トルリョチャギ(気合)。 9)上級蹴美約束組手9番(茶帯教程) 動作−攻撃側→(左足を踏み込んで防御側の「顔側面」めがけ)右・ティオ・トルリョチャギを蹴る。    防御側→(右足を後進させて)左・ティオ足刀パクロマッキ     反撃→(攻撃側の「顔面」めがけ)右・ティオ・トラ・ヨッチャギ(気合)。 10)上級蹴美約束組手10番(茶帯教程) 動作−攻撃側→(左足を踏み込んで防御側の「顔側面」めがけ)右・ティオ・トラヨッチャギを蹴る。    防御側→(左足を下げながら)2回転後進かわし防御     反撃→(攻撃側の「顔面」めがけ)右・ティオ・ネリョチャギ(気合)。