略 歴 |
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生年月日 |
1963年、東京都大田区生まれ。 |
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最終学歴 |
神奈川大学大学院経済学研究科博士後期課程修了(卒業) |
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専 攻 |
企業者史、経営史、マイノリティ問題、韓国地域研究 |
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学 位 |
経済学博士 |
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教 歴 |
1994年4月(1996年3月までの任期制)
文部省特殊法人・日本学術振興会 特別研究員
2000年4月〜2006年3月まで
法政大学経営学部(経営史担当)・同大学院(企業家史担当)兼任講師
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所属学会 |
経営史学会(東京大学社会科学研究所内)会員
社会経済史学会(早稲田大学政治経済学部内)会員
企業家史研究会(法政大学産業情報センタ−内)会員
新アジア研究会(名古屋大学内)会員 |
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法政大学経営学部「経営史」(平成13年受講生約800名)シラバス
講師 河 明生
<概要>
本講義は日本と関連の深い諸外国における経営史を「グロ−バルな視点」から概説します。
経営の中心は人=経営者、とりわけ革新的企業者だと考えます。企業者は個別企業の隆盛を左右するのみならず、その継続的な輩出は、各国の経済・経営発展に不可欠な要素であります。そこで企業者史の視点を加味しながら、外国経営史の基礎的な理解を深めたいと考えます。
企業者供給に影響を与えている重要な要因の一つは、各国それぞれの経営風土に影響を与えている文化構造であると考えます。そこでその特性を論ずる際、重要と思われる各国経済・経営の生成・発展期に注目し、その過程をたどります。その時代は、革新的企業者が必要とされ台頭した時代でした。
まず、産業革命を経て「世界の工場」としての役割を担いながらも、その工業的隆盛が漸次衰退していったイギリスとその時代を象徴する企業者活動。イギリスより半世紀も産業革命が後れた後進国でありながら、有効な経済政策をおしすすめ、20世紀初頭にはイギリスを凌ぐ重工業国家となったドイツとその時代を象徴する企業者活動。旧宗主国のイギリスにとってかわるように台頭し、現代企業経営のモデルたる有力企業を輩出したアメリカとその時代を象徴する企業者活動。何故、時代の変遷とともに「主役」が変わったのかを考えて行きたいと思います。
「グロ−バルな視点」というためには、先進国以外の経営史の学習も不可欠です。また、企業者供給源といわれるマイノリティ問題の検証も必要です。そこで、戦後、「漢江の奇跡」という経済発展を成し遂げ、中進工業国の模範といわれながらも、近年、経済危機に直面し、経済発展の原動力の一つであった「財閥」の解体の必要にせまられた隣国の韓国とその時代を象徴する企業者活動。そして日本におけるマイノリティの企業者活動についても考察します。
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<講義計画> |
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- 企業者的経営史の基礎概念
意義/経営風土と文化構造/企業者と起業者/企業者精神と経営理念/イノベ−ションと異質性/企業者供給源・マイノリティ
- 19世紀以前のイギリス
一般経営史の概説−産業革命と工場制生産体制/文化構造−ジェントルマン志向と経営アマチュアリズム、金融保険業の隆盛と製造業の衰退要因/事例研究 クエイカ−教徒(ダ−ビ−、ロイズ、バ−クリ−など)とユダヤ人(ロスチャイルド、ロイヤルダッチ・シェルなど)
- 19世紀後半〜20世紀初頭のドイツ
一般経営史の概説−後進資本主義国の台頭と軍需産業/前史−ユグノ−の商工業における役割/文化構造−天職と権威、家父長制と秩序、マイスタ−精神と技術/事例研究 クルップとジ−メンス、ダイムラ−とベンツ
- 19世紀後半〜20世紀前半のアメリカ
一般経営史の概説−ビッグビジネスの勃興、大量生産と大量販売/文化構造−プロテスタント倫理と勤勉、フロンティア・スピリッツと挑戦/事例研究 カ−ネギ−とロックフェラ−、モルガンとデュポン、フォ−ドとスロ−ン(GM)
- 戦後の韓国
一般経営史の概説−開発独裁と「財閥」/文化構造−儒教と血縁・地縁・学縁重視の経営/事例研究 柳一韓(柳韓洋行)と鄭周永(現代)、その他
- 戦後の日本におけるマイノリティの企業者活動
概説−マイノリティの企業者活動/事例研究 重光武雄(ロッテ)と安藤百福(日清食品)、孫正義(ソフトバンク)
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研究業績(学術書単著、共著、論文、学会報告) |
一、学術書 単著 |
1
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河明生『韓人日本移民社会経済史−戦前篇』明石書店、1997年2月、総215頁。 |
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(書評一覧、発表年度順、抜粋) |
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- 『週刊エコノミスト』1997年3月25日号、毎日新聞社、
評者 京都大学教授 間宮陽介氏
- 『東洋経済日報』1997年3月14日、評者 匿名
- 『統一日報社』1997年3月29日、評者
中山義幸氏
- 『京都新聞』朝刊、1997年4月13日、評者 匿名
- 大阪の部落史研究会『大阪の部落史通信10』1997年6月、
評者 大阪府立岸和田高校教諭 横山篤夫氏
- 在日朝鮮人研究会『コリアン・マイノリティ研究』第1号、1998年1月、新幹社
評者 早稲田大学助手 外村 大氏
- 社会経済史学会『社会経済史学』第64巻第2号、1998年7月
評者 東京農工大学教授 木村健二氏
- 『青丘文庫月報』第137号、1999年3月8日
評者 九州国際大学教授 坂本悠一氏
- 部落問題研究所『部落問題研究所会報』第133号、1999年3月20日
評者 九州国際大学教授 坂本悠一氏
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2 |
河明生『ケ−ススタディ・企業者史−企業者活動と企業者精神の異質性』ア−トン、
2001年。法政大学経営学部「経営史」教科書として使用。 |
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内容−金融帝国ロスチャイルドとデュポン財閥、
鉄鋼王カ−ネギ−と石油王ロックフェラ−(スタンダ−ド石油・現エッソ創業者)、
自動車王フォ−ド(フォ−ド自動車創業者)とスロ−ン(GM専門経営者)などの
世界的著名な企業家の比較研究。 |
3 |
河明生『マイノリティの文化構造と起業者精神−在日韓人事例研究』、明石書店予定、現在執筆中、2002年出版予定。 |
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二、共著 |
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- 『新・東アジア経済論−グロ−バル化と模索する東アジア』ミネルヴァ書房、2001年
担当章 第4章W「マイノリティの経済問題−世代別経済的上昇法則と起業者活動」
内容−ソフトバンク創業者・孫正義氏に関する論文
- 国際政治学者・舛添要一氏との共著(予定)
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三、学術論文 |
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- 「民族的マイノリティに属する企業者の精神-東京圏在勤在日二・三世韓人企業者の 意識調査より」
(『研究論集』第19号所収、神奈川大学大学院経済学研究科、1993年9月、97-209頁)
- 「韓国華僑商業-1882年より1897年迄のソウルと仁川を中心として」
(『研究論集』第23号所収、神奈川大学大学院経済学研究科、1994年11月、1-98頁)
- 「日本におけるマイノリティの起業者活動−在日一世朝鮮人の事例分析」
(『経営史学』第30卷第4号所収、東京大学出版会、1996年1月、59-78頁)
- 「マイノリティの「起業者精神」−在日一世韓人と在日二・三世韓人との比較」
(『経営史学』第33巻第2号所収、東京大学出版会、1998年9月、50-74頁)
- 「ビジネス啓蒙の企業家活動−福沢諭吉と渋沢栄一」2001年4月
(法政大学産業情報センタ−研究プロジェクト「日本の企業家活動シリ−ズNO21)
- 「旧植民地出身の企業家活動−ロッテ創業者・重光武雄と日清食品創業者・安藤百福」
(法政大学産業情報センタ−研究プロジェクト「日本の企業家活動シリ−ズNO25)
2001年9月発表予定。
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四、その他 |
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- 学会年間回顧
「1995年の外国経営史・アジアその他(1995年度、経営史業績年間回顧)」
(経営史学会『経営史学』第32卷第1号所収、UPT、1997年4月、104-113頁)
- 雑誌インタビュ−
河明生「被差別部落民と在日韓人−社会経済史的視点」、
聞き手・友常勉(東日本部落解放研究所研究員)
(『現代思想』第27巻第2号所収、青土社、平成11年2月)
- 雑誌対談企画
全鎮植(さくらグル−プ、モランボン創業者、故人)、
聞き手・和田春樹(東京大学社会科学研究所教授、当時)
「祖国との合弁は在日の糧−注目の商工人が語る、共和国、日本、そして在日という存在」
(『世界』第600号、1994年、岩波書店)
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五 学会報告(抜粋) |
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- 「在日コリア人起業者試論−戦後日本におけるマイノリティの経済活動」
(経営史学会・関東部会、1994年9月24日、於 高千穂商科大学)
- 「マイノリティ起業者供給試論−株式会社ロッテ創業者辛格浩氏の分析を中心として」
(経営史学会・第30回全国大会、1994年11月12日、於 早稲田大学)
- 「在韓華僑商業史−1880年代を中心として」
(経営史学会・第32回全国大会、1996年10月、於 横浜市立大学)
- 「日本におけるマイノリティの起業者活動の史的考察−在日一世韓人起業者と在日二 ・三世韓人起業者のパ−ソナリティ−の比較を中心として」
(財団法人関西経済研究センタ−主催 第2回経営学六甲コロキアム
「企業リ−ダ−論」、1996年11月、於 芦屋六甲ハウス)
- 「在日韓人起業者による韓国・北朝鮮投資」
(早稲田大学アジア太平洋センタ−、1998年6月、於 早稲田大学)
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