メモワール
第14回全日本フルコンタクトテコンドー選手権大会
( 2003年11月29日土曜日  会場・後楽園ホール )

「蹴美の名勝負」と競技能力向上、

柔よく剛を制した尾崎圭司が連覇達成!


優 勝  尾崎圭司(湘南平塚支部) 女性部優勝   渡辺真希(岡山支部)
準優勝  妹尾将吾(岡山支部) 女性部準優勝  井上めぐみ(神奈川大学横浜校体育会支部)
3 位  斉藤 健(神奈川大学湘南校体育会支部) 女性部3位   長崎優子(千葉船橋支部)
4 位  井上鉄朗(千葉船橋支部)


第14回全日本フルコンタクト・テコンドー選手権大会の意義は、「蹴美の名勝負」を通じて立証された出場選手の競技能力向上と尾崎圭司の連覇により「柔よく剛を制す」という新たな理想がJTAフルコンタクト・テコンドーの理念に加味された点にある。

「蹴美の名勝負ベスト3」としては、まず1回戦の武田敬之(横浜関内支部)対小林広明(東京自由が丘支部)戦をあげることができる。
 第13回全日本大会準優勝の武田は、初出場の小林に対し、積極的に攻め、誰が見てもKO寸前の状況に追い込んでいた。
 ところが、試合時間残り30秒前後で奇跡がおこった。
 必死の形相をした小林が放ったかかと落としが(表紙写真3行目右)、武田の鎖骨を直撃したのである。
 武田が崩れ落ち、会場が大きくどよめいた。主審も驚き、「技有り!」の宣言が遅れてしまった。それほど衝撃的な蹴美の蹴りであった。まさに「まぼろしのかかと落とし」といえよう。かくして第13回全日本大会の象徴であった「武田人生劇場」は、若武者・小林によって完全に幕をおろされた。

次いで2回戦の尾崎圭司(湘南平塚支部)対山村光伸(神奈川県警)戦である。
 尾崎は第13回全日本大会を制した現役チャンピオン。プロキックボクシング界の雄・チームドラゴン(前田憲作主宰)へも入会し、Kー1MAXの小比類巻選手とのスパーリング等で競技能力が上昇している。

 対する山村は、全日本大会を連覇した元重量級チャンピオンであり、100kg近い巨漢でありながら、華麗な蹴り技の名手として一世を風靡した名選手である。Kー1でアンディ・フグ選手と対戦した世界テコンドー重量級チャンピオンのピア・ゲネット選手に勝てる可能性の高い唯一の日本人選手であった。

しかも両者は、名門・神奈川大学体育会テコンドー部の先輩後輩でもある。いわばJTAが誇る新旧最強選手の対決であった。

 尾崎は山村戦が、最大の難関とみなしており、チームドラゴンからもKー1ファイターの堀選手等が応援にかけつけた。
 試合は両者どっしり構えて睨み合いながら横蹴りや回し蹴り等で牽制。
 僅かな隙が命取りになるというスリリングな展開だった。
 一方が蹴りを放つ都度、「ビシッ、ビシッ」という音が後楽園ホールに響き渡るような重量感に満ちた戦いでもあった。
 実力者同士の対戦に観衆は固唾をのんでいた。
 試合時間残り30秒前後、練習量に勝る尾崎が、積極的に攻勢に転じて怒濤のラッシュ。決定打はなかったが、この攻勢を評価された尾崎が、僅差の判定勝ちをおさめた。

 決勝戦の尾崎圭司対妹尾将吾(岡山支部)戦は圧巻だった。
 妹尾は尾崎に対して強烈なライバル心を有しており、それが前半戦で大いに爆発した。
 妹尾が猛然と攻撃ラッシュし、尾崎が守勢に立たされたのである。
 妹尾の重い蹴美の蹴りで尾崎が飛ばされロープ上に浮くという場面があった。
 多くの観衆が妹尾の初優勝を予感した。

 だが、練習量で他の選手を凌駕している尾崎は、妹尾の攻勢に対し冷静に対処し、完璧な防御につとめた。
 妹尾の攻勢が衰え始めた後半戦、尾崎が反撃に転じた。
 とりわけラスト30秒は、前半戦の借りを返すかのように怒濤の攻撃ラッシュが妹尾を追いつめた。
 結果、尾崎が判定勝ちをおさめ優勝した。
 観衆が魅入られた見応えのある見事な決勝戦であった。

 出場選手の中、相対的に小柄な体格の尾崎(168cm・68kg)が、身長190cm・体重100kg近い選手を倒して連覇を達成したことは大変意義深い。
 「柔よく剛を制す」という新たな理想をJTAフルコンタクト・テコンドーの理念に加味したからである。
表彰式終了後、尾崎が「出場選手のレベルが高くなっていた」と苦戦の原因を分析していたように、
JTAファイターの全体的な競技能力の向上が示された大会でもあったといえる。


入賞者
女性入賞者

パンフレット会長挨拶大会のみどころ
開 場
開会式
1回戦ダイジェス
2回戦ダイジェスト
準決勝戦
3位決定戦
決勝戦
演 武
表彰式・閉会式

募集要項
ポスター
2003年度ベスト7
2003年度女性ベスト3


特集